撮影済みの素材があるなら、ショート動画の編集だけを外注できます。依頼前にそろえるのは動画ファイルだけではありません。完成動画の用途、使ってよい素材、字幕や見せたい箇所、納品形式を一緒に渡すと、編集者は判断に迷う時間を減らせます。
まず素材を一覧にし、「どの場面を使うか」「何を伝えるか」「どの状態なら納品完了か」を決めましょう。この記事では、撮影後の素材を編集へ引き継ぐ手順、初稿への戻し方、納品時の検収項目を整理します。撮影や企画から依頼する場合は、編集のみの発注とは必要な準備が異なります。
編集だけを頼む前に、作業範囲を一文で決める
「動画を編集してください」だけでは、編集者がどこまで判断してよいか分かりません。素材の選定、構成、字幕原稿、BGM、投稿文まで含めるのかを分け、社内で決める部分と依頼先に任せる部分を書きます。
| 作業 | 社内で決めて渡す例 | 編集者へ相談できる例 |
|---|---|---|
| 素材の選定 | 使用するファイル、優先する場面 | 似たカットからの選択、つなぎ方 |
| 構成 | 視聴後に伝えたい要点、必須の順番 | 伝わりやすい尺や展開の提案 |
| 字幕 | 商品名・人名・数値の正表記、必須文言 | 読みやすい改行や表示タイミング |
| 音・演出 | 使用許可のある音源、避けたい表現 | 音量調整、画面切替、装飾の提案 |
| 納品 | 掲載先、必要本数、希望形式 | 書き出し設定の確認 |
判断を依頼先に任せる項目には「提案希望」と書きます。反対に、商品仕様や発言の正確さなど誤ると困る情報は、社内で確定してから渡してください。これで、編集の工夫と発注側の確認責任を分けられます。
素材は「ファイル名・内容・使いどころ」を対応させる
撮影フォルダをそのまま渡すと、似た映像の違いや使ってよい範囲を編集者が一つずつ確認することになります。元ファイルは残し、共有用コピーに番号を付けて一覧と対応させましょう。長回しの映像は、使いたい場面の開始・終了時刻も書きます。
| 項目 | 記入例(仮) |
|---|---|
| ファイル名 | A01_説明前.mp4 |
| 内容 | 担当者が製品を手に取って説明を始める |
| 使いたい箇所 | 00:18〜00:31。冒頭候補 |
| 必須/任意 | 必須。説明の要点が含まれる |
| 注意点 | 背景の掲示物は映さない |
| 素材の扱い | 元データは編集せず保管。共有先と削除希望日を指定 |
依頼に添えるのは、元動画だけでなく、完成イメージの参考、ロゴの最新データ、固有名詞の表記、動画に入れる確定済み文章です。参考動画を示すときは「テンポ」「字幕の大きさ」など、参考にする要素を言葉にします。参考先の映像・音源・画像をそのまま使ってよいという意味にはなりません。
出演者、撮影場所、音源、商品画像などに利用条件がある場合は、どの媒体でどの期間使えるかを社内で確認します。編集者へ渡す素材にも個人情報や社外秘が含まれていないか見直し、共有権限を必要な担当者に限ってください。
字幕と構成の指示は「直す場所」が分かる形にする
字幕原稿を社内で確定できるなら、発言の文字起こしと、画面に表示したい短い字幕を分けて渡します。編集者に要約を任せる場合は、変えてはいけない名称・数値・意味を明示し、初稿で内容を確認する担当者を決めます。
構成指示は、動画の時間に沿って書くと伝わります。例えば「冒頭で結論を見せる」「次に使い方を一つ紹介する」「最後に問い合わせ先を表示する」のように、各場面の役割を書きます。秒数は素材と目的に合わせた仮置きにし、指定した尺だけで内容を詰め込みすぎないようにします。
字幕に商品名や人名がある場合は、正しい表記をテキストで渡します。画面上で読めるかは、スマートフォンの実寸に近い表示でも確認してください。細かな文字が小さな画面で読みにくい場合、文字を削るか表示時間を長くする必要があります。
初稿レビューでは、感想より修正指示を返す
初稿を見たら、まず依頼時に決めた目的と必須条件に合うかを確認します。「テンポをよくしてほしい」だけでは編集者が直し方を選べません。該当時刻、現状、希望する状態を一組で返します。
| 時刻 | 現状 | 修正希望 | 理由・優先度 |
|---|---|---|---|
| 00:04 | 商品名の字幕が別表記 | 指定した正式表記へ変更 | 必須・情報の正確性 |
| 00:12 | 重要な操作の前でカット | 操作が分かるところまで残す | 必須・使い方を伝える |
| 00:21 | BGMで説明音声が聞き取りにくい | 音声を聞き取りやすく調整 | 優先・理解しやすさ |
修正依頼は一つのファイルに集め、同じ箇所への指示が社内で食い違わないようにします。誤字や音量の修正と、構成を変える追加要望は分けて記載してください。どこまでが当初依頼に含まれるかは契約・見積もりの条件で異なるため、編集開始前に修正の扱いをすり合わせます。
納品前に、再生・内容・ファイルを確認する
動画ファイルを受け取ったら、チャット上のプレビューだけで済ませず、実際にダウンロードして最初から最後まで再生します。依頼票と照らし、納品漏れや見落としやすい問題を確認しましょう。
- 依頼した本数と各ファイルの名前が一致している
- 音声・映像が最後まで再生でき、意図しない黒画面や音切れがない
- 商品名、固有名詞、数値、字幕の誤字がない
- 必須カットと構成が入っており、避けたい映り込みがない
- 字幕がスマートフォンでも読め、音声と大きくずれていない
- 比率、解像度、ファイル形式など、依頼時に決めた仕様に合う
- 音源・出演者・素材の利用条件を満たしている
- 修正後の最終版と旧版が区別でき、社内の保存場所が決まっている
縦横比やファイル形式は掲載先と運用方法で必要条件が変わります。依頼時に投稿先を伝え、使用するSNSの最新仕様と制作側の書き出し条件を確認してください。納品ファイルだけを保存し、元素材やプロジェクトデータも必要かどうかは別途決めます。
編集外注へ渡す依頼票(記入例)
以下は依頼内容を整理するための仮の記入例です。角括弧を自社の情報に置き換え、未確定の項目は「相談したい」と明記してください。
ショート動画編集の依頼票(記入例)
- 動画の目的・掲載先:[何を伝え、どこで使うか]
- 完成本数・希望時期:[本数/希望日。確定日は相談]
- 素材一覧:[ファイル名、内容、使用箇所、必須/任意]
- 構成:[冒頭・説明・締めで伝える内容]
- 字幕:[原稿の有無、正式名称、必須表記]
- 参考:[URLと参考にする要素]
- 使用素材の条件:[音源・出演者・ロゴ・第三者素材の確認状況]
- 納品仕様:[比率、解像度、形式、本数、ファイル名]
- 社内確認:[初稿を見る担当者、回答を集約する担当者]
- 修正の扱い:[見積もり・契約条件と照合して記入]
- 共有方法:[アクセス権、共有期限、元データの削除希望]
この票を編集者と共有したら、初稿確認の期限と、修正指示をまとめる人を決めます。素材の追加が後から発生する場合は、どの版を使うかをファイル名や更新日で区別し、差し替えたことを相手へ伝えてください。
撮影も必要か、編集だけで進められるかを判断する
手元の素材で必要な場面を見せられるなら、編集のみで進められます。一方、商品やサービスの要点を説明するカット、人物の発言、現場の様子が不足している場合は、編集だけでは補えません。写真や図解で代替できるか、追加撮影を行うかを先に決めましょう。
依頼範囲によって費用の見方が変わるため、ショート動画の外注費用と見積もり項目も参考になります。企画・撮影を含めて相談したい場合は、単発動画制作のサービス内容で対応範囲をご確認ください。
撮影済み素材、動画の用途、完成後に必要なファイルが分かると、編集のみで進められるか、追加の撮影や構成が必要かを相談しやすくなります。


